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「バラセメント」は粉粒体運搬車の定番積載物

タンクローリーの積載物紹介シリーズ、記念すべき第1回は粉粒体の定番「バラセメント」を紹介します。バラセメントとはどんな物質で、どんな車両によって運ばれているんでしょうか。

バラバラなセメント

バラセメントとは、袋詰めされていない状態 (バラバラ) のセメントのことです。

セメントは、石灰石や粘土、けい石、せっこうなどを主成分とし、これらを焼成・粉砕することで製造されています。製品としてできあがるセメントは細かな粒状になっているので、昔は運搬のために梱包されていました。しかし、梱包してしまうと荷役や開封の手間がかかってしまうため、現在では未梱包の粉粒体のままで運搬されています。

明治時代に使われていたセメントを入れた木樽[1]

このように、個別に容器に収められていないバラバラのセメントのことをバラセメントとよんでいます。

バラセメントの輸送

セメントが工場で製造されてから使用者の手元に届くまでの流れは、1次輸送と2次輸送に大別できます。1次輸送とは、工場から中継基地もしくはユーザーまで、2次輸送とは中継基地からユーザーへの配送を指します。中継基地はサービスステーション (SS) とよばれています[1]

太平洋セメント 大分工場(佐伯)
かつてセメントを生産していた太平洋セメント佐伯工場 (by Hiroshi Nakai)

1次輸送は、タンカー、タンクローリー及び貨車等が担っています。臨海工場から臨海SSまでの大量輸送にはタンカーが用いられるため、1次輸送における輸送比率はタンカーが最も高くなっています。

DSCN5790
洋上を航行するセメントタンカー (by Darren Hillman)

2次輸送は、SSから各需要先への配送であるため、タンクローリーによる配送が主体となります。

水を加えていないセメントは粉末状であるため、液体輸送用のタンクローリーとは異なった機構を備えた車両が必要となります。こうした車両は、粉粒体運搬車やバルク車、バラ車などとよばれています。

粉粒体運搬車は、粉粒体の排出方法の違いによってエアスライド式やエアレーションブロー式などに分類することができますが、バラセメントは比較的流動性が高いため、どの方式での車両でも運搬することができるようです。

バラセメントを運ぶタンクローリー

これまでに撮影した写真を見ると、極東開発工業の粉粒体運搬車「ジェットパック」が最も多く、その他のメーカーのものはほとんど見かけませんね。

バラセメントを運ぶ極東開発工業のジェットパック
バラセメントを運ぶ極東開発工業のジェットパック
運輸会社は三岐通運

タンクの形状をカタログの画像と見比べると、エアスライド式かエアレーションブロー式かを判別できる場合があります[2]。以下の2枚は、それぞれエアレーションブロー式、エアスライド式で間違いないでしょう。

バラセメントを運ぶエアレーションブロー式の粉粒体運搬車
バラセメントを運ぶエアレーションブロー式の粉粒体運搬車
メーカー、運輸会社は不明
バラセメントを運ぶ極東開発工業のエアスライド式ジェットパック
バラセメントを運ぶ極東開発工業のエアスライド式ジェットパック
運輸会社は不明

走っている車両の数が多いので見飽きてしまいがちなバラ車ですが、数が多いぶんセミトレーラーやフルトレーラーなど車両の形式にバリエーションがあって面白いですね。

バラセメントを運ぶ極東開発工業のフルトレーラー型ジェットパック
バラセメントを運ぶ極東開発工業のフルトレーラー型ジェットパック
運輸会社は三岐通運

ちなみに、名古屋近辺では三岐通運が運ぶタンクローリーをよく見かけます。

参考文献

  1. セメントの常識 (2007) セメント協会, 東京.
  2. 粉粒体運搬車ジェットパックシリーズカタログ, No. 1426, 極東開発工業, http://www.kyokuto.com/product/cat/cat1426.pdf

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