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軽油のような重油「A重油」

タンクローリーの積載物紹介シリーズ、第4回はA重油です。A重油は重油と何が違うのか、どんな用途に使われるものなのかをみていきます。

A重油は最も粘性が低い重油

重油とは、ガソリンや灯油などに比べて高沸点で高粘性の原油成分です。日本では、粘度によってA重油・B重油・C重油の3種に分類されています。

A重油は3種の中で最も粘性が低く、小型船舶やビニールハウスの暖房、ボイラーの燃料などに利用されます。

軽油の代わりに不正利用されるA重油

A重油は「重油」という名称ではありますが、実際には軽油と似た性状なので、軽油を燃料とする機器でA重油を用いることができます。

軽油には軽油引取税が掛かりますがA重油は無税であるため、A重油をディーゼルエンジンの燃料として利用する脱税行為がニュースになることもあります。

黒煙を出しているトラックを止め、燃料を抜き取って調べたところ、それがA重油であったことが発覚

許さん!! 東京都が強制措置をとった「A重油」, レスポンス

こうした脱税行為を防ぐ目的で、A重油にはクマリンが添加されています。桜餅の香りの成分であるクマリンは、紫外線を照射すると蛍光を発することから、A重油を識別するためのマーカーとして働きます。

クマリンの構造式
クマリンの構造式 (Wikimedia Commonsより)

A重油を運ぶ危険物タンクローリー

A重油は、ガソリンや軽油と同じく危険物タンクローリーで運ばれます。A重油だけで運ばれることもあれば、他の石油類と混載されることもあります。

A重油と重油を混載する極東開発工業のタンクローリー
A重油と重油を混載する極東開発工業のタンクローリー

下の写真のタンクローリーにはJAあいちと記載されているので、農業ハウス用の燃料に使われるんでしょう。

A重油を運ぶ昭和飛行機工業のタンクローリー
A重油を運ぶ昭和飛行機工業のタンクローリー

回転式混載看板に記載のある通り、危険物第4類第3石油類に該当します。第1石油類のガソリンや第2石油類の軽油に比べて引火点が高いことがわかります。

これまでに見つけた車両は、極東開発工業昭和飛行機工業のタンクローリーでした。ガソリンや軽油と同じ車両が使えるので、ほんとはもっと多くのメーカーの車両が使われているのだと思います。

1件のコメント

  1. ぽこた

    1.「…..他の石油類と混載されることもあります。…..」と有りますが、”他の重油類”とは混載されますが、一般的な燃料油(ガソリン・灯油・軽油のいわゆる白油)とは混載されることは有りません。(品質低下防止のため。最初重油を積んで次回白油を積む等の”交互積載”の場合は、いったん洗浄等の処置をしなければなりません)。
    2.下の写真は「A重油を運ぶ昭和飛行機工業のタンクローリー」と有りますが、泥除けは確かに昭和飛行機工業ですが、タンクは極東開発工業です。(泥除けゴムだけを変えたものと思慮されます)

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