ガソリンや軽油など、液体の危険物を運ぶタンクローリーは、多くの人が目にしたことのある車両だと思います。ただ、その構造が持つ意味や内部構造などについては一般にはほとんど知られていません。
ここでは、危険物を運ぶタンクローリーの外部構造と内部構造を紹介します。
安全装備が充実した外部構造
危険物タンク (移動タンク貯蔵所) の上部には、マンホールなどの付属装置が設置されています。こうした付属装置を保護するために、付属装置の周囲を囲む防護枠を設けることが義務付けられています (危険物の規制に関する政令 第十五条第一項第七号)。防護枠は、仮にマンホールから危険物が溢れても流れ落ちないようにするための溢流防止としての役割も持っています。また、タンクが横転しても完全に逆さまにならないように、タンク側面には側面枠とよばれる突起物が付けられています。
タンク上部のマンホールには、注入口、検尺、空気安全弁が備えられています。注入口は、危険物を注入するための穴です。検尺とは、タンク内の液量を計測するための棒です。自動車のオイルゲージと同じようなものです。空気安全弁はタンクの内圧が上がり過ぎた際に空気を逃して安全性を確保するためのもので、常用圧力の1.1倍になると開く仕組みになっています。
タンクの底部には、液体を排出するためのバルブ(底弁)があります。この底弁を開閉するためのハンドル(底弁ハンドル)がタンク上部に設けられています。乗組員は、タンク上部に登って底弁ハンドルを操作し、底弁を開閉します。最近では、エアーによる開閉機構を備えたエア式底弁も普及していて、わざわざ上まで登らなくても底弁を開け閉めすることが可能になっています。
液体を揺らさない工夫が詰め込まれた内部構造
危険物タンクは最大で30,000Lまで危険物を積載することができます。しかし、タンクの内部は一室4,000L以下になるように間仕切りをしなければなりません (危険物の規制に関する政令 第十五条第一項第三号)。間仕切りに使用される板は仕切板と呼ばれています。仕切板はタンクに溶接されているため、タンク内は独立分離した小部屋を複数作り出すことができます。仕切板でタンク内を分けることで、軽油やガソリンなど、1つのタンクローリーに異なる液体を混載することが可能です。
タンク内が4,000L以下に抑えられているといっても、積載された液体が過剰に揺れるとタンクローリーの横転を誘発する危険性があります。こうした観点から、分割されたすべての小部屋には過剰な揺れを抑えるための防波板が取り付けられます。
いくつかあるのですが2点だけ指摘します(現状の圧力表記はパスカルに変わって居ます)。
空気安全弁:「…常用圧力の1.1倍になると開く…」と有りますが、常用圧0.2kgf/cm2以上のローリの場合、1.1倍以下の圧力で作動です。それ以下の常用圧力のローリは0.2kgf/cm2越え0.24kgf/cm2以下の範囲の圧力で作動です(一般的な、燃料油ローリはこちらに成ります)。
内部構造:細かい事ですが”仕切板”は”鏡板”と同じ物が使われて居ます(つまり 平板形状では無く、プレスされた凸形状板です)。一般的には最終槽が両側に膨らませて有り、前に前にと出が続きます(仕様により異なります、あくまで一般論です)。